新しくフランチャイズで独立開業を行う場合、例えば地方出身の方なら、ご自身のご実家のある地方に戻って開業しようと考えることもあるかと思います。
では、その際に都会と地方ならどちらの方がより多くの利益が望めるのでしょうか。
単純に考えて、人口が多い都会の方はいいのでは?競合店が多いから、地方の方が穴場かもしれないなど、それぞれに良いところ・悪いところがあるため一概にこうと決めるのは難しいですよね。
今回は、都会と地方ならどちらが有利かについて、比較しながらみていきましょう。
まずは、都会と地方それぞれのメリットとデメリットを上げていきます。
◆メリット
◆デメリット
やはり、都会の一番のメリットは「人口が多い」=「消費が多い」ことです。単純に消費量が多いと、それだけで売り上げに繋げやすくなります。
その代わりに、維持コストが高くつく、競合店が多い、立地決めを慎重に行う必要がある、といったデメリットもあるため、都会だから儲けやすいとは一概に言えません。
◆メリット
◆デメリット
地方の一番のメリットは「費用が総じて安い」ことです。
例えば同じ店舗でも、店舗の賃料や土地代、またその土地の最低賃金があり、総じて都会よりも安く抑えることができます。土地は余っている場合が多いため、家賃も安くすみます。
そのかわり人口が少なく、消費が少ないのが現状となっており、地方独自の習慣、文化が根付いているため新規参入店は受け入れられづらいのです。常連客を作るには、その土地の人と綿密に関われるかが重要です。
メリット・デメリットをまとめると、都会は消費が多いのに対して、地方は少ない。都会は、コストが大きいのに対して、地方は小さい。
都会は「ハイリスクハイリターン」、田舎は「ローリスクローリターン」が課題となります。
とはいえ、これでは質問の回答にならないため、当サイトとしての回答を行おうと思います。
メリット・デメリットを比べると、一見同じように思えますが、実は地方の方が有利と判断しました。その理由について詳しく説明していきます。
リスクとは、赤字になった場合の振れ幅が少ないということです。
例えば、都会は消費量が多いですが、その分コストがかかります。黒字経営にするには、コストより上回る売り上げを取らなければいけないですよね。
つまり、都会だと、コスト400万円の場合、500万売れば100万の利益が出ますが、地方の場合、コスト50万で150万売れば、同じ100万の利益が出るのです。これは、売り上げが取れない場合のリスクが小さいということです。また、お店を経営するにはそれ以外の出費があることも理解しておく必要があります。
事実、新しい事業を始めるには、初期費用は数百万単位でかかるものです。それに加えて、月々お店を維持するためのランニングコストも発生します。
主なものでは
などです。これらが、毎月かかる費用の内訳です。そして、地方だと全てにおいて費用が安くすみます。
もちろん売り上げが費用に届かない分は本部から貸してもらえる場合もありますが、なかには利子がつくことも。
また、フランチャイズは都会、地方に関わらず販売価格は決められていることが多いです。したがって、コストが高い分、それだけ回転率をあげなければいけません。回転率を上げようと、大量に仕入れて、ロスになってしまうケースも考えられます。
本サイトではくどいように独立開業にはリスクはつきものとご紹介してきました。であれば、少しでもリスクを減らせられる地方のほうが有利と判断いたしました。
とはいえ、デメリットもあるのは先述の通りです。
特に、地方のデメリットで挙げていた「新規店が受け入れられづらい」という点はどうでしょうか。先ほど、地方には独自の価値観があると書きましたが、フランチャイズ店自体にも同じことが言えます。
フランチャイズの良いところは「ブランドの価値が知られている」ということです。
例えば、モーニングで知られるコメダ珈琲というコーヒーショップがありますが、このコメダの本拠地である名古屋にはモーニング文化が根付いているので、250円でコーヒーとパンが付いてくる喫茶店はいくらでもあります。これは、地方独自の価値観と言えますよね。
ですが、同じメニューで400円のコメダ珈琲店は、名古屋に245店舗あります。(2018年現在)
これは、この価格でもコメダのブランドが浸透しているから、ここまでの店舗数を広げることができているのです。
地方でも、フランチャイズの付加価値は変わりません。ブランドが浸透していれば、むしろ受け入れられやすくなるということです。
フランチャイズに関わらず、地方の自治体や企業では、UIターン補助金支援が盛んに行われています。(Uターンとは、もともと地方に住んでいた人が、都会に就職して、また地元に戻ること。Iターンとは、都会に住んでいた人が、地方に移住することを指します。)
これは人口確保のための制度です。新しい場所で事業をはじめるには、住居費用もかかります。そういった際に、移住支援制度を利用すれば、比較的安くすみますね。
フランチャイズで言えば、セブンイレブンには「UIターン独立支援制度」というものがあります。
セブンイレブンは地方の事業拡大に力を入れていますが、コンビニは他の事業と比べて、費用が高くつくのが現状です。そこで、新規開業する人に、引っ越し代、交通費、物件視察のための宿泊費などを支給してくれるというサービスです。
条件は「50キロ以上の転居であること」。これなら、地方に越して独立開業したい人でも、負担が少なくて済みます。
このように、地方開業に向けたサービスがあるところが多いことが、地方の方が有利と判断した点です。
地方が有利な理由を3点あげましたが、とはいえ、狭いようで広い日本、土地ごとに性質は異なります。開業の成功率を上げるためには、「土地選び」がもっとも重要となってきます。当たり前ですが、一度開業してしまうと変更がかなり難しいからです。
間違っても、全国各所にある、よく潰れるお店にはならないようにしたいものです。
店舗型のフランチャイズを想定し、どこの場所にするかを決める時に重要な見極めポイントを5つご紹介します。
この5つを重点において、一番有利な場所を選びましょう。
もちろん何かが欠けてもいては成功しません。何かが飛び抜けているよりかは、全体的にみて良い場所の方がリスクは低いと思われます。
そしてこの5つのポイントを見極めるには情報が必要ですから、交通量、年代別人口比率、周辺競合店、歩行数、間口、視認性などはよく調査しておきましょう。自力で調べることもできますが、立地診断サービスを利用するのも良いかもしれません。
とはいえ、最初の思いに関しては、人それぞれの部分もあると思います。
特に「なぜUターンするのか」「なぜIターンするのか」を自分自身できちんと答えを持って動くようにしましょう。
よく移住者に対する地元住民の反発が、などニュースになることがありますが、いい意味でも悪い意味でもUIターンした人は「よそ者」となります。そして、地方が求めるのは「よそ者・若者・馬鹿者」といわれます。
地元住民が求めるものと自分が提供するサービスが合致すればおのずとリターンは発生してくるはずでしょう。
地方は都会と比べて消費は少ないですが、ランニングコストを抑えることができます。コストが抑えられるということは、売り上げが取れない場合でも損失が少ないということです。そして、フランチャイズの付加価値を利用すれば地方でも受け入れられやすくなり、移住支援制度を利用すれば、さらに費用を抑えることができます。
これを念頭において、ぜひご検討いただければと思います。
なお、今回の記事では、地方が優位と書きましたが、職種によってはもちろん都会が有利な場合もあります。
(ex.若い女性向けのネイルサロンなど)
もし都会で始めたいという場合には、リスクのことを考え、ある程度資産を貯めてからがおすすめです。うまくいかない時の場合も念頭に置きましょう。
いずれにせよ、立地選びは慎重に行うことが大事と言えます。