知人や以前勤めていた会社の人、またこれからお世話になる関係者に開業を知らせた際に、お祝いとして現金やお祝い品を受け取ることがあります。このような場合、もちろんマナーとしてもそうですが、感謝の気持ちを表すためや今後のお付き合いをお願いするために、お返しをすることをおすすめします。
しかし、どのようにお返しするのがベストなのか、またそのお返しの“相場”はどれくらいなのかよく分からない人も多いのではないでしょうか。
今回は、お返しの方法やお祝い返しの品物について、そして気になる金額の相場について紹介していきます。
お祝いを頂いたときに、それをお返しする方法は2通り考えられます。
一つは開業した側が開業パーティーやお披露目会を催し、お祝いをくれた関係者を招いておもてなしをする方法です。そしてもう一つは、お返しの品にお礼の手紙を添えて贈る方法があります。
どちらの方法が良いかは、お返しが必要な人数や間柄にもよります。また、パーティーなどを催す際には準備に時間がかかりますので、時間的余裕のある時に行うようにしましょう。
飲食店のオープニングパーティーや事務所の設立パーティーなどを催した際のおもてなしをお返しとする方法です。基本的にはお店がオープンする前に行うことが多く、お披露目会の意味も兼ねています。
特に決まりはありませんが、招待客が楽しめるような、そしてあなたの感謝の気持ちが伝わるようなおもてなしをする必要があります。来てくれた人のための簡単な飲み物や食べ物を用意したり、オープンまでの謝辞と今後もお付き合いをお願いするスピーチなどのプログラムを組むのも良いでしょう。
また、パーティーのおもてなしだけではなく、来てくれた方へ引き出物を渡すのもおすすめです。この引き出物を選ぶ際には、持ち帰りやすいように大きくなり過ぎない、重たくない品物を選びましょう。
引き出物に自社名や自社のロゴや電話番号、ホームページのURLが入っていると宣伝になって良いかも知れませんが、その場合には出来上がってくるまでに時間を要しますので、余裕を持って準備をするようにしておきましょう。
上の様なオープンパーティーやお披露目会は、関係者が少ない、あるいは多すぎる場合には開催が難しい場合があります。また、準備等に時間がかかる為、開業前の忙しい時期には余裕がないことも多いでしょう。
その様なときには、お返しの品にお礼状を添えてお祝いを頂いた相手に贈ることをおすすめします。但し、お祝いをくれた相手との関係性によって品物の内容を変えたほうが良い場合もあります。下に一例を示しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ちなみに、取引先関係に名入れした記念品を贈る場合、自社名があまり目立たないシンプルなデザインになるように留意しましょう。
では、お返しの品とお礼状を贈る場合、いくらぐらいのお返しを贈ればよいのでしょうか。これも、開業祝いパーティーなどでおもてなしをした場合とお祝い品を頂いた場合とで予算が異なります。
ちなみに、パーティーを催す場合には、おもてなしを以てお返しとすることもありますが、上述したように引き出物を渡すこともありますので、ここではその引き出物の予算の相場を紹介します。
パーティーなどでのおもてなしをお返しとする場合の引き出物の予算ですが、千円から三千円程度が相場の値段です。安いと思われるかもしれませんが、パーティーなどにも費用がかかっていますので、このくらいが妥当かと思われます。
但し、高額なお祝いをいただいた場合には、パーティーの参加・不参加に関わらず、いただいた金品の額の3割から5割り程度のお返しをすることもあるのを覚えておいてください。
お返しの品を贈る場合は、いただいたお祝いの約3割から半額程度の額の品物を用意しましょう。
何を贈ったら良いのか悩むかもしれませんが、基本的には相手の業種に合わせた贈り物を選べば問題はありません。お返しの相手が飲食関係の方であれば食器やカトラリーを、事務所などオフィスで働いている方なら文房具などです。
このお返しですが、開業した日から約1週間~2週間以内に贈るのがベストだと言われています。お礼状も添える必要がありますので、パーティーを催す時と同様に時間には余裕をもって準備しましょう。
感謝の気持ちがこもっていれば相手はきっとお返しを喜んでくれるはず…と思いがちですが、実はお返しを含む贈り物には“縁起が良くない”として避けたほうが無難な品物もあります。
例えば、“別れ”や“手切れ”“縁を切る”などを想像させてしまう「ハンカチ」や、お葬式の贈答品で一般的な「お茶」などがあります。
また、「鞄」や「靴」「靴下」「腕時計」などは目上の方に贈るのは失礼に当たるとされていますし、相手の年齢や立場関係なく「現金」や「金券」など金額が明確に分かるものは止めておきましょう。
お返しの品物だけではなく、それに添えるお礼状にももちろんマナーがあります。お返しする相手との関係性(身内、友人、取引先関係など)によって多少異なるマナーもありますが、ここでは共通するマナーについて説明します。
お礼状はハガキでなく封書で送りますので、二重タイプになっている和封筒を用意しましょう。筆記具は黒ボールペンか、黒または紺の万年筆を使用します。便箋ですが、罫線のない白い無地のものが無難です。
文章を書く方向は縦書きがマナーです。
内容としては、まずお祝いをいただいたことへのお礼、次に今後の抱負、最後に感謝の気持ちを記載すると良いでしょう。あくまでもお礼の手紙ですので、お礼や感謝の気持ちは込めつつも、長くなりすぎないように注意しましょう。
また、お店の宣伝やPRをメインとした内容は避け、今後のお付き合いもお願いする気持ちを表す文章を添えることをおすすめします。
書き出しですが、相手との関係性を問わず「時候の挨拶」から始めるようにします。時候の挨拶は、お礼状を送る月によって異なりますので、お礼状を書く際にはネットなどで送る月の挨拶を調べてから書くようにしましょう。
宛名の書き方のポイントは3つあります。まず、相手の名前より自分の名前の文字は小さくすることです。次に、見た目が汚くならないように切手は一枚に収めましょう。そして、相手の肩書が「代表取締役」の場合は名前の頭に、それ以外で5文字以上の役職名の場合は、部署名と会社名の横に書くようにしましょう。
開業することはもちろん、開業を誰かに祝ってもらえることは非常に有り難いことだと思います。そして、その有り難いという感謝の気持ちを表すのがお返しです。しかし、そこで下調べもせず、値段の安さで品物を決めたり、面倒くさいから余裕がないからとお返しもしなかったりすることはあまり良いことではありません。
開業はスタートであり、そこからがより重要な場面の連続になります。新しいビジネスチャンスをくれたり、困難に遭遇したとき支えてくれたりするのは開業祝いを贈ってくれた人かもしれません。
開業後も良い関係性を続けたいと考えるのならば、ぜひ相手を思いやり、マナーを学んでお返しをすることをおすすめします。